本・映画

飛行機の中で読みたい一冊「i (アイ)/西加奈子」〜この世界にアイは存在しません〜

大学の法学部と文学部へと続く坂道、通称「法文坂」を歩く女性がいつも気になっていた。

 

彼女はマイケル・ジャクソンのTシャツを着ていて、アフロヘアーで、なんだか雰囲気があるのだ。日本人の感性ではない何かをまとっていた。

 

彼女がテヘラン生まれ、カイロ育ちであることを知ったのは、彼女が直木賞を受賞してからだった。「アフロの人」はやっぱり素敵な才能を持っていた。

 

田舎から出てきた私は、新人類をみるように大学生の「西加奈子さん」を見ていた記憶がある。私も作家になったら、対談してこの大学生の頃の話をしたいと思っている。

 

今回の旅には、西加奈子さんの作品「アイ」を持っていきました。

 

 

普段から本を読むほうではある。
だからこそ、旅に出るときに持っていく一冊は外したくない。

 

ひとり旅の多い私は、できるだけ、荷物を少なくしたいので、Kindleにも数冊ダウンロードしたりするけれど、何となく紙の本を手元に置いておきたいたいという気持ちは捨てられない。

 

いわゆる「所有欲」というものなのかもしれない。

 

西加奈子さんの「アイ」はどんな本?

「アイ」は西加奈子さん自身の人生から生まれている気がする。
「自分は何者、何人なのか?」
それは、彼女自身がテヘラン生まれ、カイロ育ちということもあると思う。

つまり、子供の頃を海外で過ごし、外国人としてそこにいたわけで、日本人として、日本で育った人とは異なる疎外感も少しばかりはあっただろう。

 

私が実際に大学生の頃の彼女を見て、「人とは違う感性」がある人だと私が思ったほどなので、日本人なのに、日本人ぽくはないという、自分の「居場所」、「所属」ということについて悩み考えたこともあるんじゃないのかと推測してしまう。

 

「この世界にアイは存在しません」

 

主人公・ワイルド曽田アイ。
アイにとって、この言葉が「アイ」の中のキーポイントとなります。

アイは、アメリカ人の父と日本人の母のもとにシリアからやってきた所謂、「養子」である。
そんな彼女の周りには、子供の頃から、多様な人種の人がいて、大人になるにつれて、残酷な現実や強靭な優しさを知ることになる。

 

世界には多様な人がいるということ

今回、イタリアひとり旅にこの本を持ってきて本当によかったと思えた。
人の多様性というポイントも入った物語だったからである。

 

イタリアはEU加盟国であるから、住んでいるのはイタリア人だけではない。また、移民を受け入れていることもあり、アフリカからの難民と思われる人々も街を行き交う。

 

2018年5月のイタリアは、日中の温度差が激しく、朝は冬の初めのような気温で日中は夏のような暑さの日々だった。

 

そんな気温の中、イタリアで見かけた人々は、UNIQLOのようなダウンジャケットを着ている人もいれば、キャミソール一枚の人もいた。足元もスニーカー、ブーツ、サンダルと様々だ。

 

しかし、その光景は私にとっては「気づきの山」だった。
それは彼、彼女らが人の目を気にしていないということを感じたからだ。

 

「私はこうよ」
「あなたはどう?」
「それもいいわね!」

 

そんな多様性を受け入れることを当たり前としている気がした。
自分を出して良い気がした。それを否定せず受け入れてくれる風景が見えるようだった。

 

ファッションは自分の内面の一番外側なのだ。
多様であっていい。
ただ、そう思えた。

 

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西加奈子さん「i(アイ)」はこちら。

 

 

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yorie
「素敵な人になるために、どう生きるか」をテーマとして、少しづつ自分流に生きる日常のことを言葉にして発信しています。